体外受精の対象となる人は不妊治療をしてもなかなか子どもができない人

1978年にイギリスで、世界初の体外受精児ルイーズ・ブラウンちゃんの誕生が報じられた当時は、生命の尊厳と誕生の神秘をめぐって、ローマ法王まで巻き込み、世界中に体外受精の是非について大論争が展開されたものでした。

あれ以来約数十年、ひと昔前のできごととして冷静にふり返ってみられる年月が過ぎてみると、体外受精も現在では不妊症の一つの治療方法として定着しつつあることを感じます。
三年ほど前に、イギリスだけでもすでに160人ほどの体外受精児の誕生が報じられていましたので、現在では世界全体で1000人以上の体外受精児が誕生しているものと推定されます。日本でも、まだ数は少ないのですが、体外受精による出産が何例かあり、今後も増え続けるものと予想されます。その技術も日進月歩です。

さて、世界初のルイーズ・ブラウンちゃんの場合、その母親が以前に両側の卵管切除術を受けていたため、体外受精以外には子を持つ可能性がなく、したがってみずから進んでこれを受けたということです。つまり、子どもがほしいという強い願望と、体外受精以外にはまったく

その可能性がないという二つの絶対的な条件がそろっていたため、医師団もその実施に踏みきったのでした。
この例のように、どのような人が体外受精の対象となるのか、選択の基準となる考えかたがなければなりません。医療機関ばかりでなく、倫理面から、また社会環境や世界各国の状況などから判断して、一定の基準というものが必要となります。

日本でも諸外国の例を参考にしまたわが国独特の社会環境を考え、各医療機関における倫理委員会や日本産婦人科学会などがそれぞれの意見を持ち寄って、ほぼ次のような内容の基準が設けられています。これは、体外受精を受ける対象となる人の適応範囲を決めたもの、と考えられるものです。

必要条件

  • ①年齢40歳以下であること。
  • ②強い挙児希望を有すること.
  • ③排卵周期を有すること、あるいは排卵誘発しうること。
  • ④卵巣から採卵しうること.
  • ⑤弓司・両弓の概要が理解しうること。
  • ⑥採卵および妊娠出産に耐えうる健康状態であること。

絶対的適応

⑦両側の卵管切除術を受けたものあるいはマイクロ・サージャリー(顕微鏡下での微細な手術治療)によっても治療がきわめて困難と考えられる卵管の完全閉鎖のあるもの。

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